腹腔鏡手術で門脈シャントの結紮手術を行った猫の1例

担当獣医師:北村 診療日:2022年11月23日
動物の種類
診療内容 肝臓外科・内科、消化器科
主訴、現病歴、既往歴5歳ごろに肝性脳症を発症
9歳ごろから肝性脳症を内科管理できなくなってきたとのこと
高アンモニア血症を起こし、食欲不振、嘔吐があり内服も拒絶し、これ以上の内科治療が難しい状況でした
体調を改善できないか、外科手術を含めた治療方法を相談したいとのことで受診されました。
検査結果高アンモニア血症
アミノ酸バランスの乱れ
CT検査にて門脈体循環シャントが確認されました(左胃静脈経由横隔静脈シャント)
疑われる疾患門脈体循環シャントによる肝性脳症が体調不良の原因だろうと考えました
EBMの視点
NBMの視点
根治治療のご提案【外科手術(シャント血管の結紮)】
猫の門脈シャント結紮術は術後発作や周術期死亡の危険性が高く、手術は2回以上に及ぶ可能性があります。ですが、生活の質を改善し、余命を延長できる可能性があることをご説明しました。
緩和治療のご提案【内科治療(投薬や食事管理)】
肝臓用療法食やアミノ酸製剤を含む投薬、投薬困難な場合にはアミノ酸点滴を実施する方法があることをお伝えしました。
ですが、猫さんの状況を見ると、内科治療では長く持ちこたえることは難しそうであることもお伝えしました。
対処療法のご提案
家族会議・獣医の情報共有手術治療を望まれました。
手術による体へのダメージを軽減するために、腹腔鏡下での手術を行うことになりました。1回の手術でシャント血管を完全結紮することは難しく、猫さんの十分な体調改善を得ることはできませんでした。そのため、シャント血管の完全結紮を目標に2回目の手術を行うことになりました。2回目の手術でシャント血管を完全結紮することができましたが、術後発作を起こしてしまいました。集中治療とご家族のご協力のもと体調を持ちなおし、投薬治療なしで元気に過ごせるようになりました。

腹腔鏡をつかってシャント血管を確認し、鉗子を使ってを剥離しているところ

シャント血管を結紮したところ
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